国家の品格
藤原 正彦
話題書ですので、ここで私があーだこーだ言わなくても、
目を通した方は多数いらっしゃると思います。
今回は、私の率直な感想文にしましょう。
なので、個人的な意見として流していただいて構いません。
まず、多くの日本人(私を含め)は、日本が好きなのに、
欧米に憧れのまなざしを向けているのでは。
特に、学生だった10年間を、歴史・文化を感じる京都で過ごしていた私にとって、
日本の文化は誇りであり、格別の想いがあります。
が、その一方で、外国の文化がかっこいい、正しいと思うこともあります。
あらゆるジャンルで世界を引っ張るアメリカの主張が正しいと思い込むことが多く…
高度経済成長を遂げ、今や目指す目標がないはずなのに、
まだ欧米を真似る日本という国…
この現状に筆者は嘆き、日本の良さとは何かを言及しています。
日本は世界に誇るべき潤沢な要素を持っていると訴えます。
欧米の考え、とりわけ本書では「論理的」を批判しています。
ロジカル・シンキングは、時には必要だけど、
それだけでは絶対に駄目だ。
それらを支持する書が多い中、
新しい視点を持つ意味でもとても刺激的な一冊。
グローバルな世の中においても、語学ができればいいのではない。
むしろ、日本語が堪能で、日本の文化にも精通している中身のある人間が、
本当の国際人になれるのです。
かつて、福沢諭吉、新渡戸稲造らが海外で賞賛されたように。
今や、BRICsが世界の主導権を奪おうとしています。
日本が世界にできることは、日本の誇るべき古来の精神・考え方を発信することだそうです。
中身のある人間になるには、読書が最善の道なのだと。